ハロー、アンダーピッパラ

酸性の雨もはじけるやわらかき疒を片手にして歩く

 

触れた、ではなく触った、と思い振り返ればイヤホン抜けて工事音

 

逢いたくてもう逢えない人 七色も見えない虹の端の藍色

 

(ああ、この人は十回くらいは殺してる)濃度の低いごめんねをまた

 

野沢菜の直立区画そのままに枯れていくのを見ていた 冷たい

 

白色の烏の気配に二度見する、二度見直してそして忘れる

 

スフレパンケーキのくずれおちそうな振動ひろいテーブル あ、孤独

 

誰からも愛されている空間にぼくのかたちの穴があいてる

 

ていねいに齧り残した林檎の実 既読のつかない四、五秒のある

 

どこまでもブルーの空に殺されて繰り返す犬の虐待動画

 

ねむるように畳んだタオルの冷たさに驚けば月に刺されて血潮が

 

木星と地球の距離の妄想をトイレットペーパーが見ている 

 

ココア入りミルクが世界で一番やさしくて、やさしくて、やさしくて、尿

 

手ごろな紐で首をくくるふりをして移行したあやとりの竹箒

 

中東の青い錠剤をせつなさの塊として飲み込んで吐く

 

頸には底なし沼もがこうとするほどにゆるやかで傷のつかない一日

 

低反発枕は憎い 中指で作ったくぼみに鼻をあてがう

 

誰かに会える気がして丑三つに窓をひらいて、瞬間に冬

 

ペットボトルの水が転がっていて二人手を繫ぎ飛び降りた少女のニュース

 

通り魔に殺されたくてピッパラピッパラ夜を歩いています