2018-01-01から1年間の記事一覧

きたみち、ゆくみち――2018年春

1月 自分を変えようと思ったのだ。 何かをするのだ、その「何か」を定めようと思った。前年のように天井をひたすら見上げて、自傷をして、そうして一年がすぎて、そのまま死んでいくのが怖かった。だから、ぼくは剛力で怠惰な性質を捻じ曲げようとした。だか…

0000書店紀行アーカイブ

0000書店紀行とは、10000円を握ってさまざまな人と本屋へ行き、本の話をしながら10000円分本を買おう、という企画です。 これはこれまで行われた分のアーカイブです。 第一回 ゲスト:木野誠太郎(シナリオライター) kamisino.hatenablog.com 第二回 ゲスト…

倫理

「うたの日」というサイトがある。 ぼくもこのサイトについては外様なので、外様なりの認識で説明すると、「インターネット上で歌会ができる場所」である。「歌会」とはいえ、同時にひとつの場所に集まって、相互的な評を述べる場であるというよりも、めいめ…

ポール・ニザン『アデン・アラビア』

僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない。 ポール・ニザンの『アデン・アラビア』は、こういう一文ではじまる。カミュの『異邦人』と並んで、二十世紀フランス文学におけるもっとも有名な書き出しのひとつに数えられるら…

かんざし第三号感想

94年生まれだから、櫛でかんざし。おしゃれです。 いくつか印象に残ったものについて書いておきます。 写真はtwitterよりお借りしました この土地のどこかに鳥の国があるといふあなたの嘘ためらはず/浅野大輝 毎年毎年渡り鳥はどこへいくのだろう、と不思議…

ぬばたま第二号感想

うばたまや闇のくらきに天雲の八重雲がくれ雁ぞ鳴くなる/源実朝 あじさいの藍のつゆけき花ありぬぬばたまの夜あかねさす昼/佐藤佐太郎 96年だから「黒」ということはあとあと知ったのだけれど、黒色ってとてもかっこいいな、と思う。印象に残った歌につい…

2017年ベスト(本・その他コンテンツ)

kamisino.hatenablog.com 2016年は「失」という漢字で総括していた。 去年は「変」だと思う。よくもわるくも、いろいろな変化があった。 兵庫短歌賞の新人賞をもらい、短歌の集まりによくいった。それから仕事をはじめた。薬の量も減った。 去年は漫画や音楽…