生きてるだけで、愛。
講義中に本谷有希子『生きてるだけで、愛。』を読む。
本谷有希子は「幸せ最高ありがとうマジで!」を見に行ってはまった。狂っていながら強烈な「生」を感じさせるキャラクターに惹かれたのだ。
この作品に登場する寧子というメンヘラ女子もまた、強烈な「生」への渇望をもっている。
彼女は手首を切る代わりに、全身の毛を剃る。働きもせずに男の元に寄生するし、働いたら働いたでちょっとしたことで店を破壊してしまうし、なんでもないことで泣く。かなり厄介な存在だ。
彼女は自分の世界にこもりすぎて、世界との距離感が分からないのだ。というより、世界に興味がないのかもしれない。戦っているのはいつでも自分自身だ。
あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生。
自分のことばかり見る人間は自分を相対化できない。こんなあたしって変だよね?変だよね?あれ、変じゃないのかな?でも変でいたいな。
変なまま愛されたい。必要なのは矯正じゃなくて同調。
あたしを怒らせない一番の方法はね、とりあえず頷いてやり過ごすことじゃないから。あたしが頭使って言葉並べてんのと同じくらい謝罪の言葉考えて、あたしがエネルギー使ってんのと同じくらい振り回されろってことなんだよね。
そうやって、生きてるだけで愛だって気付きたいんじゃないのか。
なんというか、とても引き込まれた。どこかで舞城+綿矢って言っている人がいたけど、確かにそんな感じ。
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夜は烏丸今出川を少し南に下ったところにある「UENOYAMA」で、ゼミの食事会。貸切だった。モスコミュールのジンジャーがだいぶ辛かった。
帰ってからクリープハイプを聞いた。なんとなく『生きてるだけで、愛。』と通じるところがあると思う。別にアルバムのタイトルが『吹き零れる程のi、哀、愛』だから似ているというわけじゃない。
そこも含めて、歌詞の雰囲気が似ているんじゃないかと思う。